お茶を淹れるとき、味に影響をする要素は9割が水、残りの1割が茶器(急須)と言われております。
美味しい水を使用してお茶を淹れることを前提とし、茶器を選ぶ場合、どの様な急須がどの様なお茶に適しているのでしょうか?
緑茶には萬古焼きが良いと三重では言われ、常滑では常滑焼きがベストと言われております。
更に、中国茶の世界では、紫泥(萬古焼き)はプーアル茶に適していると言われ、常滑焼きに代表される朱泥は烏龍茶のようなデリケートなお茶に適していると言われ台湾では大変人気があります。デリケートなお茶に適している?とはどういう事でしょう?
茶器に関しては、茶器の特性とお茶の味に関する適切な理論や説明が殆ど皆無であり、極めて理解に苦しみます。
そこで、自分で実験を行いました。
常滑の朱泥急須、萬古の紫泥急須と、まったく素材の影響がないガラスの急須を用い同じお茶を淹れた際の味に与える影響を調べました。
実験により分かったことは、萬古焼きはお茶に強烈な影響を与えます。逆に常滑焼きは性質が中性的で、ガラス容器と殆ど変わりません。つまり常滑焼きの場合、土で作られているという点を除くとお茶に与える影響はガラスやセラミック製の陶器とまったく変わりません。逆の言い方をすると、常滑焼きで淹れても、ガラスの急須で淹れても味はさほど影響を受けません。
それに対し、萬古焼きはお茶に劇的な影響を与えます。萬古焼きは還元焼成という方法で作られるため、陶器に含まれるミネラル分は還元鉄(Fe 2+)の状態で存在しており、更に、焼成温度が高いため、より多孔質の構造になりお茶の成分に大きな影響を与えます。多孔質=より大きな表面積だからです。
以下実験結果です。
萬古焼+緑茶=香が多少落ちるが、味が円やかになり、1ランク上の味になる。
常滑焼+緑茶=香りは強いが苦味や、渋みが強めに感じられる。
萬古焼+烏龍茶=烏龍茶の香りも味も劇的に落ち、美味しくない。
常滑焼+烏龍茶=香りも味も素晴らしい。
萬古焼+中国緑茶=香りも味も改善されて美味しい
常滑焼+中国緑茶=やや水っぽさが感じられ、香りとこくが少なく感じられる。
萬古焼+プーアル熟茶=味が劇的に改善されとても美味しい。
常滑焼+プーアル熟茶=円やかさが足らない。余り美味しくない。
萬古焼+プーアル生茶数年物=味も香りも劇的におち美味しくない。
常滑焼+プーアル生茶数年物=香りも味も素晴らしい。
酸化焼成により作られた常滑焼はお茶の成分であるポリフェノールに与える影響が少なく、逆に萬古焼は強烈に影響を与えていることが推察されます。
その為、萬古焼はポリフェノール類が味の主体である烏龍茶にはマイナスに作用し、逆に、アミノ酸による旨味を引き立ててくれます。但し、例外的な結果も有るため、一概には言えないようです。
中性的な性質の常滑が適している場合と、お茶の成分に強い影響を及ぼす萬古焼が良い場合とあるようです。何れにせよ、茶器を選ぶ際には、お茶への影響と自分の好みを良く理解し常滑か萬古、或いは、朱泥か紫泥か決める必用があります。