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中国の紅茶と言えば、キームン、ラプサンスーチョン、雲南紅茶が非常に有名ですが、それ以外にも知られているようで知られていない幾つかの種類があります。その中でも英徳紅茶は品質が飛び抜けているのですが、現在ではお茶関係者やギフトでしか流通しておりません。それもそのはず、現在中国で英徳紅茶を製造しているのは、広東省にあるお茶の研究所1カ所だけです。年間の生産量はたったの数トンだけだそうです。この紅茶は中国の茶店でも売られておらず、コネクションがない限り入手が不可能とされております。
  写真:英徳紅茶は枝等が味に影響するため、枝は意図的に除去されていない。
今回の研修期間中に、私たちはこの英徳紅茶を試飲する機会に恵まれました。英徳紅茶は英紅9号と言われる品種から作られ、茶葉には枝が多少混入しております。これらの枝も味に深く関係しており、意図的に混入されているそうです。
英徳紅茶は茶葉が比較的大きく、割とゆるめの揉捻(揉み)により作られております。この紅茶は他の紅茶と比べ極めて大量のテアフラビンと言う物質を含んでおります。このテアフラビンは紅茶の鮮やかな赤い色を形成する色素で、この物質が多い紅茶は味が上品でまろやかになります。この物質はまた、ゴールデンリング(紅茶と入れ物の境目に形成される金色の輪でゴールデンリング=高品質茶)の元であり、他の紅茶と比べ非常に明瞭なゴールデンリングが見られます。
試飲した感想は、物凄く濃厚でそれでいてまったりとしており、今までに飲んだことのない上品な味でした。香りも非常に強く、色は深い艶やかな赤色に輝いており、大変バランスの良い紅茶だと思いました。この紅茶はミルクティーにしても美味しいそうです。これらの紅茶は勿論、収穫から何から何までが手作業による非常に念入りな工程により製造され、これらの中国紅茶は工夫紅茶と呼ばれます。工夫紅茶はインドやスリランカの紅茶(1回のみ)と異なり、何度もお湯を注ぎ、飲むことが出来ます。その為、値段は非常に高いお茶ですが、結果としてお買い得なお茶です。
因みに、日本でもごく希にの英徳紅茶が流通しておりますが、本物かどうかは?です。インターネットで検索してみてください。本物の英徳紅茶を見分けるヒントを説明いたします。
英徳紅茶を生産している研究所では、雲南のGolden Monkey用の茶葉を用いた紅茶も生産しており、この紅茶が英徳紅茶の名前で時々流通しているそうです。Golden Monkeyの茶葉は名前の如く金色です。Golden Monkeyの値段は劇的に安く、味も香りも全く異なります。
特級グレード英徳紅茶は1芽1葉又は1芽2葉の茶葉を手で摘み取り作られます。1芽のみから作られた超極品もあるそうですが、年間の生産量は50kg以下で、日本に来ることは決してありません。この事実は同時に本物の英徳紅茶かどうかを見分ける材料でもあります。芽のみを用いた英徳紅茶が超高級品として一般の店で売られていた場合、数十グラムで数万円の値段がするはずです。まして、中国全土でも50kg以下しかできないお茶が海外に輸出されることはありません。通常、生産工場からのギフト品(礼茶)として用いられます。
本物の英徳紅茶は海外には輸出されることはおろか、中国国内でも販売されていない幻の紅茶です。生産された数トンの製品は、香港の英徳紅茶マニアやお茶関係者が個人消費用に殆どを買い占めているそうです。今回お茶の授業をしてくれた先生達も、一番好きな紅茶は英徳紅茶だと言っており、自分用に特別に取り寄せたそうです。
お茶の授業の際、英徳紅茶の品質に感激し、入手先を訪ねたところ、現在は生産会社との余程の関係がない限り入手出来ないとのことで、諦めるようにと言われました。
ところが、今回お世話になっていた会社の担当者に尋ねたところ、彼は先月英徳紅茶の研究工場に研修に行っており、生産会社と非常に親しい関係にあるとのことで、入手の有無を直接工場担当者に電話してくれました。その結果、少量であれば入手が可能との返事が得られました。英徳紅茶は一社でしか製造していないため、品質のグレードは極めてシンプルです。その為、その場で購入を決定し、思いがけず幻の紅茶、英徳紅茶の購入が出来てしまいました。
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