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昨日遂に待ちに待ったサンプルが届きました。
年末の販売開始に向け、殆どの高級茶葉原料は確保しました。でも、1つ凄く重要なお茶が決まっていなかったのです。
それは、「東方美人」という台湾の烏龍茶です。
夏のあるシーズンになるとウンカが飛来し、葉噛み、汁を吸うことで葉にダメージを与えます。その結果、茶葉の成長は止まり、赤く変色して、「くるっと」まるまってしまいます。その部分だけを丁寧に選択的に摘み取って作られるのが東方美人なのです。
つまり、このお茶は樹上発酵をしているわけで、摘み取った葉に手を加えることで人工的に発酵させる他の茶とは一線を画します。
お茶の葉にとまっているウンカの一種。ウンカに噛ませるため、茶園は完全に無農薬で管理されております。
虫に噛まれた茶葉は、その部分がいわばダメージを受けるため、茶葉内に含まれる酵素と基質が反応し「発酵」が進みます。普通の紅茶や烏龍茶の場合、発酵期間は数時間です。ところが、東方美人の場合茶葉が噛まれて発酵が進行しつつも、茶葉は未だに生き続けているのです。そのため、時間をかけゆっくりと酸化反応が進みます。
普通の烏龍茶や紅茶で同じくらい長く発酵させたらどうなるでしょう?おそらく、カビや乳酸菌のような微生物が繁殖し、最終的には出来損ないの黒茶になってしまうと思います。
もう一つ、植物の場合、病原菌や微生物が繁殖すると、それらに抵抗するためにある物質を作り出します。これを「ファイトアレキシン」と呼びます。「ファイト」とは専門用語で植物を指します。ファイト一発!のファイトではありません。
ファイトアレキシンは、植物が虫や病原菌に対抗しようとして作り出す物質の総称です。植物がダメージを受けつつも、生き続けていないとファイトアレキシンは合成されません。その点、東方美人の条件に当てはまります。
これは私の推測にすぎないのですが、東方美人の独特の香りは、フィアトアレキシンの一種であるテルペン類なのかもしれません。以下、秋田大学生物資源科学部生物生産科学科の助教授 田母神 繁先生の書いた文章の引用です。
植物は動物とは違い、移動することで病害虫から身を守ることはできません。その代わりに、自分を守る特別な防御機構をいくつか持っています。例えば、病原菌の侵入に対してはファイトアレキシンと呼ばれる抗菌活性を持った物質を自ら生産します。
また、害虫による食害を受けると揮発性物質を放出して助けを呼んだり、仲間に危険を知らせます。助けとは害虫の天敵のことで、この揮発性物質は、言わばガードマンを呼び集める働きがあります。さらに、この物質は周囲の植物に害虫の存在を知らせ、防御の準備を促す働きがあるとも考えられています。植物によってどのような物質を放出するかは異なりますが、テルペンと呼ばれる柑橘香をもった物質などが見つかっています。 では、植物が持っているこれらの防御機構のスイッチをオンにするものは何なのでしょうか?そのひとつにジャスモン酸と呼ばれる植物ホルモンがあります。実際、植物にジャスモン酸を与えると、ファイトアレキシンが生産されたり、葉から揮発性物質が放出されるのを確認することができます。
植物作り出すテルペンには柑橘香があると言う点、非常に興味深いですね。もしかすると、東方美人の強いフルーツの香りは植物の生命科学的な現象と関係があるのかもしれません。
いつの間にか前置きが長くなってしまったので、今回入手したサンプルについてのコメントは次のブログで説明いたします。
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