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ダージリンのファーストフラッシュのサンプルが届きました。 荷物の封を開けた瞬間、甘い香りがふわっと感じられました。ダージリンの春を実感した気分になりました。

試飲をするにあたり、全ての茶葉を均一に計量し、同じ温度と量の湯を注ぐことで全ての比較条件を標準化しました。予想通り、花のような香りのフラワリーカップと甘いフルーティーな香りのフルーティカップの2種類に分かれました。 一つ残念だったのは、多くの茶園のお茶に煙り臭さが感じられたことです。これは、乾燥に用いる熱源が直火であることに由来しております。
日本の食品産業では普通熱交換機という物を使用することで、直接火やその排気が製品と触れない工夫がなされております。しかし、そのような設備はダージリンにはありません。特に難しい設備ではないのですが、とにかくありません。但し、近年では直火式ではある物の、ガスを燃やす方式に変更している茶園が多く見られ、製品の煙臭さに対する工夫も行われております。今回煙臭さが目立ったロットはおそらく旧式の設備で生産されたに違いありません。勿論、そのようなロットは試飲するまでもなくOUTです。
私はダージリンでのお茶の買い付けがあまり好きではありません。その理由は、ロット単位でしか売ってくれないためです。一ロットはその日に工場で生産される数量に基づいて設定されますが、通常は揉捻機:オーソドックスローリング装置の処理量 × 台数が一ロットの数量となります。どんなに良いお茶でも、あまりにロットが大きいと買うことが出来ません。ロットは大体100kg〜150kgで構成されており、それを全て買い取るには、かなりの販売量が必要になります。勿論、私には無理です。来年はきっとロット買いできるだろうなと内心思いつつ、今年の分を確保するための方法論を考えなければなりませんでした。以前にもブログで説明したことがありますが、英語の構文 A lot ofは「沢山の」という意味ですが、その語源は、「ワンロットから成る」、つまり1ロット=沢山とうことなのです。
物凄く良いロットがあるのに、全量買うのは経営リスクが伴う・・・この悲しい状況を打破するためにはインド人に電話をかけるしかありません。 インド人曰く、ロットを全量買わないと駄目、それが駄目なら、別の茶園で妥協するようにと。そんなことが出来るはずもなく、その後1時間・・・さんざん説明し、脅し、褒めました。再度明日返事がもらえることになっております。
資本力さえあれば誰でも共通に良いロットが買えるダージリンティーは私のような高級茶専門ブランドにとっては強みが発揮しにくい分野です。最近では「早ければ早いほど高品質」という日本茶神話がダージリンにさえも浸透しております。因みに、日本茶でも初摘み茶=最高品質ではありません。ただ、日本人の初物好きの精神が、初摘み茶の値段を猛烈に押し上げているのです。
ダージリンの茶園で概して良い品質はやはり標高の高いセクションです。但し、そのセクションは必ずしも初摘みされるとは限りません。更に、萎凋を初めとする加工技術の優劣も品質には大きな影響を与えます。事実、私が試飲したお茶の場合、むしろDJ-10くらいの方が良い品質の茶園もありました。
にもかかわらず、日本の大手バイヤーは競って初物を買い占め、それを崇高な喜びとして感じております。DJ1、確かにそれは茶園で一番最初に収穫されたお茶であることは間違いありません。でも、ベストの品質は、20ロットくらいのサンプルを比較試飲することで初めて選び出されます。
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