ここ数週間、様々な茶器やお茶の産地を周り多くの作家や生産者と会いました。
勿論、今回も四日市市にて舘正規氏を訪ねました。
実は今回は急須の製作工程をじっくり見せて頂くことが出来ました。
実際に舘さんの制作光景をみて思ったことは、轆轤をひく速度が信じられないほど速いことです。
私自身たの産地の製作風景を見たことがありますが、こんなにも早い人は見たことがありません。
作り始める前に完璧なまでに作品のイメージが頭にあるためか、動き出すと一瞬にして形が出来上がり、そして「はい終わり!」と言って終わってしまうため、ビデオを撮影する暇もないほどでした。
言い方を変えると、作り方に勢いがあります。作りの勢いは、完成した作品にも反映されており、舘さんの急須の場合、静的な道具がとても動的に感じられ、急須からオーラが発せられているような感じがします。
舘さんのもう一つの得意技は「飛び鉋」という技法です。
急須の表面に幾何学的な彫り模様を付ける手法ですが、他の作家でこれ程に飛び鉋の技を高めた作家は今も昔も見たことがありません。飛び鉋の技法は誰にでも出来る物の、技の差は素人目にも分かるくらい歴然としております。
飛び鉋には薄く加工されたブリキ板が用いられ、轆轤で回転している急須表面で金属板を振動させることで連続的で幾何学的な模様を彫り込みます。
実物を見たことのある人には直ぐに分かってもらえますが、舘さんの飛び鉋は非常に三次元的で奥行きが感じられます。極めて二次元的になりがちな飛び鉋の技法を舘さんは革命的に進化させたと思います。
まず、舘さんが飛び鉋による加工をしているとき、その音が凄いと思いました。
本当に蝉が鳴いているような「ビーン」という真の通った音がし、音を聞いただけで、彫りの深さが想像出来ました。

飛び鉋により仕上げられた表面
一連の作業を見学させて頂いた後、思い切って、「轆轤を触らせて下さい」とお願いしてみました。
見ているとあまりに簡単そうなので、「少しだけなら出来るかも?」と思いました。
私も少年時代は美術が大好きで、他の教科は駄目でも美術だけはAクラスの成績だったのでした。
舘さんは丁寧に指導して下さりました。
まず、座り方が重要だそうです。
体をピタリと安定させることが陶芸の基本であり、その為には座り方が重要なポイントだそうです。
そして、始めたのですが・・・・。
土って、これ程扱いにくいと思いませんでした。「萬古の土は扱いやすいんですよ」と舘さんは言いますが、私にとっては一筋縄ではいきませんでした。
簡単に表現すると、堅柔らかいのです。
物凄く堅く、加工しにくく感じられるのですが、ふとした瞬間に物凄く柔らかくなり、粘土をコネコネするといったイメージとはまったく違いました。
素人が触ると、土表面の水が保持出来ません。土と手の間に水分を維持することで、作品を滑らせ造形が出来るのですが、水が枯渇すると、手と土の摩擦が急激に増し、土はビチッと切れてしまいます。
舘さんは一回水を付けたらその水を枯らさないように、上手に保持してます。また、作品を仕上げる速度が速いため、水が乾く暇がありません。
私の場合オロオロとやっているため、水が直ぐに枯渇し、次から次へとドーナッツが生産されました。本当にそこの部分がブチッと切れドーナッツが量産されてしまうのです。
更に、土は一旦柔らかくなり、動き出したら一気に形にしないと、チマチマ時間をかけてと形を作ることは出来ません。作りたい作品のイメージが曖昧な私の場合、そこで悩んでしまい、再びドーナッツが生産されるのでした。
今回は本当に色んな体験をさせて頂きました。舘さん、本当に有り難うございました。

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