私が子供の頃、母親から日本で売られているバナナは青い内に収穫されるから美味しくないが、熱帯では黄色くなってから収穫するので、格別に美味しくその旨さたるや日本のそれとは比較にならないと教えられておりました。そのような知識故、初めてマレーシアに来た際、是非バナナを試してみたいと願っておりました。マレーシアでは至る所でバナナが売られており、日本の自動販売機の設置頻度と同じくらい容易にバナナ屋を見つけることが出来ます。
写真左:バナナの木 写真右:ピサンラジャ
私が初めてマレーシアで食べたバナナは、日本で「モンキーバナナ」と呼ばれるタイプでした。このバナナはピサンマスと言う種類であることを後で知りました。しかしながら、味は予想に反しごく普通で全然感動しませんでした。日本のバナナのように酸味が無く、また澱粉質の少ない食感でした。この経験により、マレーシアのバナナに対し、大して美味しくないと考えるようになりました。しかし、後になりそれが偏見だったこと気が付いたのです。
写真左:ビサンマス 右:マーケット内のバナナ売り場
マレーシアには数百種類ものバナナがあり、それぞれが非常に異なる特性を有しております。マレーシアの人々は自分の好きな種類のバナナを指定して購入していきます。その為、バナナ屋に行くと、常時7-8種類のバナナが陳列されております。
ある時、地元の友人に貰ったバナナを食べたところ、その味に物凄く感動しました。それはタリ(Tari)という種類のバナナでした。タリは普通のバナナと異なり、形がずんぐりむっくりで、表面には斑点が多くあり、一見汚らしく見えます。食べ頃になると、アケビのように皮が縦にさけ、非常に甘酸っぱいに芳香を放ちます。タリは日本で売られているバナナとは全く異なり、同じフルーツと思えないほど味が濃く、甘さと酸味が際だって感じられます。食感は澱粉質が全く感じられず、ペクチン質で、まるで熟したマンゴを食べているようです。バナナと言うよりマンゴに近い食感と味がします。この他、私のお気に入りのバナナには、ラジャや赤いバナナ(皮がバナナの花のような赤色をしている。)があります。
  写真左:未熟なタリ 写真右:食べ頃直前のタリ
また、変わったバナナにピサンブンガ(ピサンはマレー語でバナナ、ブンガはマレー語で花)と呼ばれ、サイズが30cm位になり、果実が熟しても表皮は黄色くならず緑のままのバナナもあります。
バナナ店に行くと、大量のバナナが吊されております。田舎へ行くと、樹上で熟させて食べたりしますが、町中では殆どが、青いバナナを吊すことにより追熟させ、その場で売っております。買うときに何時食べるか説明することにより、最も適したバナナを選んでくれます。殆どの場合、房売りではなく、量り売りであるため、必要な重さ(通常、500g単位)を伝えます。
バナナは深く知れば知るほど、新たな発見があり、私にとっては欠くことの出来ないトロピカルフルーツの一つです。
  写真左:バナナが追熟風景 右:ピサンゴレン用のバナナ
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