シンガポールを訪問した際、マダガスカル産のバニラのサプライヤーとアポイントを取っており、展示会終了後シンガポール市内のオフィスを訪問しました。この業者はフランス系の会社でマダガスカル最大のバーボンバニラの輸出会社です。
会社に到着すると、タクシーを降りた時点でバニラの甘い香りがしてきました。ビル全体がバニラの香りに包まれており、異様な感じでした。シンガポールの支店は僅か3人で運営されており、非常に効率的な経営であることがうかがえました。オフィスの脇が倉庫になっており、そこには私がこれまで見たこともない大量のバニラが保管されておりました。
バニラには、幾つかのグレードがあり、用途に応じてそれぞれのグレードを使い分けるそうです。但し、日本のマーケットは猫も杓子も、バーボンバニラ ブラックを使うため、用途によっては非常に勿体ないことをしております。バニラのグレードは以下のようになっております。
ブラックロングビーン:最高級のバニラ(最も水分含有量が高い。)
ブラックロング2ndグレード:2級品
レッドロングビーン:3級品
ブラックスプリット
レッドスプリット
ブロークン
シード
スプリットビーンとは、製造過程でバニラの鞘に裂け目が入ってしまった製品です。フレーバーの抽出や加工用であればこのグレードが最適です。勿論ロングビーンは見た目的に美しいですが、香りの含有量や質に関しては、スプリットも同じです。且つ、値段が低いため、用途によってはスプリットを購入する方が賢明です。ヨーロッパのメーカーは殆どがスプリットを指名買いするそうです。それに対し、日本の業者はブラックのロングビーンばかりを選択するそうです。
「余談ですが、日本の業者は概して最高級品を求めることが多いのですが、本来、用途を詳細に見直すことにより、機能を最高に維持しつつより安価な原料の入手が可能になります。日本は本当に見た目・外観重視の社会です。」
シードというグレードは非常に面白く、バニラの種だけを集めたグレードです。プリン等に用いると美味しいそうです。グレードが低くなればなるほど、含有水分量が下がるため、個体当たりの重量が低くなり、重さ当たりの香り成分量(バニリン量)は多くなります。その為、完全な抽出原料としてバニラを必要としている場合、ブロークンビーンが最もコスト対効果が高いのです。
この業者は非常に太っ腹で、私のような極小バイヤーに対して、全てのグレードを一束ずつくれると言ってくれました。一束と言えば、100本分に相当します。サンプルだけで商売が始められるのでは?と思ってしまいました。きっと私のオフィスもバニラ臭に占拠されることでしょう。
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